マインスイーパ
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マインスイーパ(Minesweeper)は1980年代に発明された、一人用のコンピュータゲームである。ゲームの目的は地雷原から地雷を取り除くことである。
概要
ゲーム画面は正方形のマスが敷き詰められた長方形のフィールドから構成されている。それぞれのマスは開けることができるが、地雷の置かれているマスを開けると負けとなる。地雷の置かれていないマスを開けたときは、隣接する8マスのいずれかに地雷がある場合はその個数が表示され、隣接するマスに地雷が置かれていないときは、それらが自動的に開けられる。地雷の置かれていないマスをすべて開ければ勝ちとなる。
プレイヤーは、地雷が置かれていると思われるマスに旗を立てることができる。これは盤面を簡略化し他の地雷の位置の推測を容易にしたり、また一部の実装では、表示された個数と同じだけの旗を立てたマスで中ボタンをクリック(または左右のボタンを同時に押下)すると、隣接する開けられていないマスを一気に開けることができる。このとき開けられたマスに地雷が置かれていれば、ゲーム終了となる。また一部の実装ではプレイヤーが地雷にマークしたあと右ボタンを押下したまま移動することを許している。これによってプレイヤーは短い時間で大きな区域を開けるために、マウスの右ボタンをドラッグしながらいくつかの数字のマスを左クリックすることができる。
基本的な実装では、最初にクリックしたマスに地雷が配置されないようにして、プレイヤーが不利にならないようにしている[1]。ただし、個人が作成した脱衣マインスイーパなどでは簡単に女性キャラクターの性的画像を見せないようにするために、最初の1マス目でいきなり地雷が現れる仕様になっているものや、広範囲に開けられない仕様になってるものが多い。また、一部の実装では、論理的な推論が全く成り立たず、運任せになってしまうような地雷配列パターンを避けるように設計されている。
このゲームの三次元バージョンもあり、「マインスイーパ3D」とよばれている。また別のレイアウトを持った二次元のマインスイーパもある。例えばX11の「XBomb」は三角形または六角形のマスを持ち、Windowsの「Professional Minesweeper」はこれらやその他たくさんの種類のレイアウトを持っている。理屈では、各マスを節点(ノード)とし、マスの隣接(通常ルールではムーア近傍)を辺(エッジ)とした、何らかのネットワーク構造的な対象であれば、このゲームを考えることが可能である。
歴史
RLogic
既に1985年には、「Relentless Logic」(略称「RLogic」)と呼ばれていたゲームがコンウェイ、ホング、スミスによってMS-DOSで開発されていたが、あまり知られていない。RLogicでは、プレイヤーはアメリカ海兵隊員となり、米軍司令部に重要なメッセージを届ける。RLogicとマインスイーパはコンセプトが似通っているが、多くの相違点がある。以下はRLogicの特徴である。
- プレイヤーは左上から右下(司令部)まで地雷原を通り抜けていかなければならない。
- すべての地雷を見つける必要はない。したがって、地雷に印を付けたり地雷の数を示したりする機能はない。
- 左上から右下までの歩数がカウントされる。ハイスコアの機能は付いていないが、プレイヤーは地雷の数ごとの自分の最高点を超えようとしていた。
- マインスイーパと異なり、地雷原の大きさは固定されているが、地雷の個数を変えることができる。
地雷原を通り抜けるゲームのため、ときにクリア不可能になることがあった。すなわち、すべての通り道が地雷で止められていたのである。
RLogicとドナーのマインスイーパとの間の関連は不明である。RLogicが先に出たことは否定できないが、コンセプトが単純なため、両者が偶然似通った可能性も十分に考えられる。マインスイーパが広く知られ続けているのに対して、RLogicは事実上無名になっている。
RLogicは更に古いゲームであることが明らかになっている。1981年頃のTektronix 4051に搭載されていたものがあったが、「games tape」に収録されている古い版は1973年まで遡ることができる[2]。このテープにはマインスイーパの三次元バージョンが含まれている。このゲームの作者デービット・アールは、コンピュータゲームの歴史の中で重要な人物である。
Microsoft Windows用
Microsoft Windows 用マインスイーパは、Oberon Games が開発し、1990年、Windows 3.0 用の拡張パック Microsoft Entertainment Pack のコンポーネントとして Microsoft Game Studios より発売された。
1992年の Windows 3.1 からはOSに標準で付属するようになった。
2014年にはローグライクゲーム風の「アドベンチャー」モードなどを追加した「Microsoft Minesweeper」が Windows 8.1 以降向けストアアプリとしてダウンロード供給されている[3]。
ゲームの分析
盤面の難易度の測定
実装
Windows
Microsoft Windowsのものでは、3つのサイズがある。
- 初級:9×9のマスに10個の地雷(Windows Meまでのバージョンは8×8)
- 中級:16×16のマスに40個の地雷
- 上級:30×16のマスに99個の地雷
- 盤面の変更:9×9(Windows Meまでは8×8)から30×24まで(ただしWindows 3.1では画面解像度が640×400 (PC-98) や640×350 (EGA) の場合は30×16まで)のマスに10から668個(Windows XPまでは667個)までの地雷(ただし設定できる地雷の最大数は、A×Bの盤面ならば(A-1)×(B-1)までである)
新しいバージョン(Windows 2000以降)では、初級の画面が8×8から9×9に変更されている(地雷の数は同じ)。これは恐らく以前の大きさでは、初級と中級が地雷をクリックする確率が同じだったからであろう(初級: 8×8=64, 10/64=0.15625 中級: 16×16=256, 40/256=0.15625)。
実際のところ、最初に開けた1マスは必ず地雷ではないとした場合、古い初級のゲームは中級と比べランダムな1つの動きで地雷に当たってしまう確率がほんの少し多くなってしまっていた。しかしながら地雷に当たる確率は総合的にあまりなく、一か八かの選択状態になる確率もごく小さいため、初級のゲームはなお易しかった。
あるいは、今の9×9の初級の画面では開けられたマスと開けられていないマスの境界が、数字の入ったマスだけで1列並ぶように現れた場合、開けられていない側の境界の1列は一か八かで開けなくても解けるようになるためであるとも考えられる。
新しいWindowsのバージョンではコントロールも改良されたため、9つのマスの幅がタイトルや得点のバーと同じになるように変更できるようになったのである。
サウンド機能はWindows Meまで正式には実装されていなかったが、winmine.iniというiniファイルにsound=3(Windows 95以降ではsound=10でも可)と書くことで、ビープ音によってゲームオーバーやゲームクリアを表現できた。ビープ音であれば音源を搭載していないPC環境でも可能だった反面、音量調節やミュートが効かなかった。ただし機種によってはWindows起動後のビープ音量が「PCスピーカ」などの名称でサウンドミキサーの管理下に置かれていてミュート可能な場合もある。Windowsでは基本的にPCM音源を想定していることからGUI起動後はデフォルトでビープ音量がゼロに設定されているケースもあり、必ずしもiniファイルをいじっただけで効果音が鳴るとは限らなかった。Windows 2000以降からは通常のPCM音源が使われている。
Windows Vista・Windows 7では今までグレーだった盤面が3D化されてカラフルなものとなり、サウンドも追加・一新され、地雷を踏むと爆発とともに周囲に次々誘爆するアニメーションが追加されている。失敗すると同じ地雷の配列で再プレイも可能になった(その場合、最初の1クリックで地雷を踏むこともある)。また、地雷でなく花(フラワー ガーデン)に変えることが可能となっている。さらに、最初にクリックしたマスが必ず空白のマスになる(つまり、最初のクリックで複数のマスが開けられる)仕様になった。ただし、ウィンドウリセットボタンが廃止されたため、新規にゲームを始める場合は、メニューから選ぶかショートカットキー(F2)を用いる必要がある。
Windows 8からは標準では搭載されず、前述の通りストアアプリでダウンロード提供となった。シェアなどインターネットを使うことで便利なツールも搭載された。シェアするにはMicrosoft アカウントが必要。
2003年、マイクロソフトはMSN Messenger(バージョン6以降)で「Minesweeper Flags(マインスイーパフラグ)」という新しいゲームを提供した。このゲームは対戦式で、目的は地雷の周囲ではなく、地雷の位置をクリックして地雷を見つけることである。先に26個の地雷を発見したほうが勝ちとなる。
イースターエッグ
特定のコマンドを入力することでプレイを有利に進められる。
- Windows 3.1
- ウィンドウ上部中央のフェイスマークをクリック後、X,Y,Z,Z,Yとタイプした後に左Shiftキーを押しながらEnterを押すことで、地雷のあるマスをマウスカーソルでポイントすると、画面の左上の1ピクセルが白く変化した。
- Windows 95/98/Me/2000
- マス目の上で左右同時クリックし、タイマーが動き出したら再び左右同時クリックしたままEscキーを押すことでタイマーを止められる。
- Windows XP
- マインスイーパのウィンドウがアクティブの時に、「xyzzy」とタイプして、Shiftキーを押しながらEnterキーを押し、カーソルでマスの上をポイントするとデスクトップの左上の端にあるピクセルが「地雷がないマス」の場合は白になり、「地雷があるマス」の場合は黒になる。
KDE
KDEプロジェクトによるものとしてkdegamesに含まれるKMinesがある。
GNOME
GNOMEプロジェクトによるものとしてMinesがある。
家庭用ゲーム
日本では『マインスウィーパー 掃海艇』というタイトルでパック・イン・ビデオより発売された。
最高記録
Windowsのバージョンの上級において、Windows2000での85秒未満(Windows3.1での80秒未満)は素晴らしいタイムだと考えられている[要出典]。中級の公式記録は9秒(非公式には8秒も記録されている)であり、8×8の初級では1秒である。上級の公式記録は33秒である(最初の1クリックをしたらタイマーは1秒後ではなく、即座に1秒になる。)。多くの人が自分のハイスコアの画像や動画を発表している。
中級の世界記録は9秒(非公式で8秒)、上級の世界記録は33秒ということになっているが、記録動画を閲覧すれば解かるように、このゲームを行うのに必要となるマウスの操作速度が人間の操作能力の常識と限界を超えている(恰も、地雷の場所がはじめから全て判っているかのようにマウスの操作が正確である)ことから「自動攻略ソフトを使用してクリアした可能性がある」「攻略時の動画を早送り再生した物にタイマー部分を嵌め込んだ捏造動画である可能性がある」などと一部で指摘されている[要出典]。
批判・問題点
- 2001年にイタリアで「ウィンドウス マインスイーパを禁止する国際キャンペーン」が開かれた。キャンペーンは、マインスイーパは地雷の被害者や地雷除去のために生命を危険にさらしている人々に対する侮辱であると主張し、強い懸念を表明した。彼らはマインスイーパのかわりに、彼らが独自に制作した"ウィンドウズ フラワー"をWindows 98に搭載するよう、Microsoftに働きかけた。この批判をうけてMicrosoftは、Windows Vista以降のバージョンのマインスイーパには地雷の代わりに花を表示する機能を搭載している。
- 周囲に表示される数字をヒントに地雷(花)の位置を特定し、進めていくゲームであるが、時に周囲の数字が地雷(花)の位置を特定する判断材料とならず、二者択一となる場合があるため、『ソリティア』や『フリーセル』のような「必ずクリアできるとは限らないゲーム」ではないものの、それと同列に扱われることがある。
脚注
- ^ ただし、同じ配列のゲームをやり直す場合はこの限りではない。
- ^ RSTS-11-13 Games, Puzzles and Recreation--1, Version: August 1973
- ^ “【レビュー】ストアアプリとして生まれ変わったマインスイーパー「Microsoft Minesweeper」 - 窓の杜”. インプレス (2014年7月30日). 2017年2月5日閲覧。
- ^ 株式会社QBQ編 『ゲームボーイクソゲー番付』マイウェイ出版発行、2017年。ISBN 9784865117790 p86
関連項目
外部リンク
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