比亜迪汽車
中国の自動車メーカー / ウィキペディア フリーな 百科事典
比亜迪汽車工業有限公司(略称:BYD Auto、簡体字中国語: 比亚迪汽车、繁体字中国語: 比亞迪汽車、拼音: Bǐyàdí Qìchē)は、広東省深圳市に拠点を置く中華人民共和国の自動車メーカー。会社の理念は「技術為王、創新為本」(技術は王で、革新は本です)。
概要
中華人民共和国のバッテリーメーカー比亜迪股份有限公司(BYD)の子会社である。会社の前身は、西安秦川自動車責任株式会社であり、同社が倒産したため、比亜迪により現社名に変更され、新会社として2003年に設立された。創業者で現会長の王伝福は、2009年度版の胡潤百富榜の評価では総資産350億元(日本円で約4,556億円)と、中国一の資産家である 。
2008年12月15日に世界初の量産型プラグインハイブリッドカー「BYD F3DM」を発売した。
2010年4月1日、日本の金型メーカーオギハラの館林工場(群馬県)を買収し、館林工場の土地、建物、設備と従業員約80人を引き継いだ。今後、オギハラが開発した金型を中国本土に持ち込み、中国人社員への技術移転を進める 。
中国政府のEVへの補助金を受け、中国国内と一部中国国外にも積極的に販売している。2016年時点で電気自動車の販売数では世界一である 。
2022年、初の完成車の中国国外工場をタイに建設 。WHAグループと工場用地の購入などに関わる契約を結んでいる。2024年に操業を開始予定で、右ハンドル車を中心に年間約15万台を生産。タイ国内および近隣諸国向けに出荷する計画である。 また、同年10月にはドイツのレンタカー会社シクストとパートナーシップ協定を締結したと発表 。ドイツ、オランダ、フランス、イギリスで運用を開始する予定。
主要株主
世界最大の投資持株会社であるバークシャー・ハサウェイの会長兼CEOのウォーレン・バフェットが、MidAmerican Energy社を通じて親会社の比亜迪に出資している 。「M6」発売のセレモニーには、バフェットと盟友のビル・ゲイツが出席している 。
車種
乗用車
現行車種
過去に販売していた車種
バス
Kシリーズ
2010年から販売が開始されたリン酸鉄リチウムバッテリーを搭載したBYD社初の電気バスシリーズ
Bシリーズ
2020年に販売が開始されたリン酸鉄リチウムブレードバッテリーを搭載したKシリーズのフルモデルチェンジ車種
- B6 - 小型電気バス(全長6.0m)
- B7 - 小型電気バス(全長7.0mのJ6をベースにした中国・香港市場向け車種)
- B8 - 中型電気バス(全長8.0m)
- B10 - 大型電気バス(全長10.5m)
- B12 - 大型電気バス(全長12.0m)
- B12D - 二階建て電気バス
- B18 - 電気連節バス
トラック
フォークリフト
- RTS15
- ECB16
- ECB16S
- ECB18
- ECB18S
- ECB20
- ECB25
- ECB30
- ECB35
- ECB40
- ECB45
- ECB50
- P20PS - 乗り込み式ハンドパレット
- P20JW - ハンドパレット
日本法人
日本国内では、2005年7月に現地法人「ビーワイディージャパン株式会社」を設立。最初の日本市場投入車は、後述記載する商用車の大型電気路線バスである 。
バス
2015年に中国メーカーとしては日本で初めて、京都市内の路線バス「プリンセスライン」に大型電気バス「K9」を導入 したのを皮切りに、日本国内では同社の電気バスを導入する事業者が増え、日本市場向けのモデルも登場している 。2019年には国内初となる観光バス用電気バスとして「C9」を沖縄県の伊江島観光バスが2台導入 。2021年には日本市場で販売する海外メーカーとしては初めて、国土交通省の「標準仕様ノンステップバス認定」をK8が取得し、その後J6も認定を取得している 。日本国内での電気バスのシェアは7割に達する 。
2021年には日野自動車がBYDからの技術供与の上、J6のOEM車種である小型電気バス「日野・ポンチョZ EV」を2022年春に販売開始すると発表したが 、その後品質の作り込みに期間を要していることを理由に2022年度中に発売が延期された 後、2023年2月16日に日本自動車工業会が自主的に規制している発がん性物質『六価クロム』が使用されている事が判明した為 、発売が凍結された事を発表した 。また、ビーワイディージャパン側も六価クロムの使用を認めた上で、乗員乗客及び整備員の人体への影響は無いとした上で、2023年末に発売予定の新型バスには日本自動車工業会の基準に準拠した素材で製造すると発表した 。この発表を受けて、同じく中国で製造し、日本で販売する同業他社のアルファバスも部品の一部に六価クロムが使用されていたことを公表するなど、日本国内でこの問題に関する影響が広がり、バス事業者の一部では運行休止や導入延期の対応が採られた 。同社の電気バスを保有する岩手県交通などでは、メーカーによる対象部品の無償交換が行われ、安全を確認したうえで運行を再開している 。
フォークリフト
日本では鉛電池を搭載したフォークリフトが一般的に多く使用されているが、バス販売に続き、BYDでは3時間の充電で10時間稼働可能なリチウムイオン電池を搭載したフォークリフトを2016年から販売している 。鉛電池型の方が導入コストは低く抑えることができ、市場ではガソリンやLPGなどの内燃式との2択である中、BYDでは国内メーカーの鉛電池型と同等の価格で購入でき、ランニングコストが低く抑えられる点が利点であるとしている 。2020年7月、BYD製電動フォークリフトの販売・整備などを行うビーワイディージャパンの子会社「BYD FORKLIFT JAPAN株式会社」を設立(本社は群馬県館林市) 。
乗用車
2022年2月に、EVモデルのe6を法人向けに発売。
2022年7月4日には、乗用車の販売やアフターサービスを行うビーワイディージャパンの子会社「BYD Auto Japan株式会社」を設立。同月21日、コンパクトカーのDOLPHIN(海豚)、SUVのATTO 3(元 Plus)、セダンのSEAL(海豹)の電気自動車3車種を日本で展開することを発表した 。
2023年1月31日、SUVのATTO 3の販売を開始し、同日より日本国内に開店準備室をオープンさせたほか、翌2月2日にはショールームを備えた店舗の日本1号店を神奈川県横浜市緑区にオープンした 。コンパクトカーのDOLPHINとセダンのSEALは2023年中の発売開始を予定している 。
販売にあたっては、各地の販売会社と正規ディーラー契約を結んで全国展開する。アフターサービス業務の支援として自動車部品商社「明治産業」と提携し、正規ディーラーのスタッフに向けたサービス技術トレーニングを同社に委託する 。