原発事故の収束作業で被ばく、白血病を労災認定 一方で白血病以外は基準なし
被ばくの健康影響について国連科学委員会などは、100ミリシーベルトを超えると発がんのリスクが高まるが、100ミリシーベルト以下では明確な増加はないとしている。
一方で被ばくと白血病の関連は昔から知られており、1976年に「年間の被ばく線量が5ミリシーベルト以上で、被ばくから発症までの期間が1年超」という労災の認定基準が定められた。
ただほかのがんについては明確な基準がない。福島の事故後に厚生労働省が検討会をつくり、胃、食道、結腸、ぼうこう、咽頭、肺の6種類のがんについて「累積の被ばく線量が100ミリシーベルト以上で、被ばくから発症までの期間が5年以上」という労災補償の「考え方」を示したにすぎない。
福島第一作業員に労災 事故後被ばく 白血病発症で認定
白血病発症にはさまざまな要因がある上、100ミリシーベルト以下の低線量被ばくが健康に与える影響はよく分かっていない。ただ、厚労省は救済を重視し、基準を満たせば業務外の要因が明らかでない限り労災を認定してきた。担当者は「年5ミリシーベルトを超えれば発症するということではない」としている。
男性は作業時には防護服や鉛ベストを身に着け、必要な対策をしていた。
専門家による厚労省の検討会が13日に会合を開き、労災に当たると判断。これを受けて富岡労働基準監督署(福島県)が認定した。
これまでの原発労働者に関するがんの労災認定は、白血病6人、悪性リンパ腫5人、多発性骨髄腫2人の計13人だった。
今後数十年間続く東京電力福島第一原発の廃炉を円滑に進める上で、現場作業員の確保と、万が一病気になった場合の国による手厚い救済は欠かせない。
今回の労災認定は、放射線被ばくと白血病発症の因果関係が証明されてはいないものの「労働者への補償」の観点に基づき行った点で歓迎すべき判断だが、ほかのがんについては認定基準がなく、幅広く救済するためには課題が多い。
被ばくの健康影響について国連科学委員会などは、100ミリシーベルトを超えると発がんのリスクが高まるが、100ミリシーベルト以下では明確な増加はないとしている。
一方で被ばくと白血病の関連は昔から知られており、1976年に「年間の被ばく線量が五ミリシーベルト以上で、被ばくから発症までの期間が1年超」という労災の認定基準が定められた。
ただ他のがんについては明確な基準がない。福島の事故後に厚生労働省が検討会をつくり、胃、食道、結腸、ぼうこう、咽頭、肺の6種類のがんについて「累積の被ばく線量が100ミリシーベルト以上で、被ばくから発症までの期間が5年以上」という労災補償の「考え方」を示したにすぎない。
原発事故の作業員が白血病 初の労災認定